知られざる駐在妻の苦悩

大学の同期だった友人から結婚の報告を受けたのは、約半年前の出来事です。

彼の転勤を機に結婚することになった、そして海外に住むことになる、と喜んで話す彼女に私は心から祝福をしていました。

彼女は専業主婦になり、結婚の報告を受けた1ヶ月後にはインドネシアへ引っ越し、共通の友人と「専業主婦っていいな」「旦那さんは高給取りなんだな」と彼女の話をしていたりしました。

辛すぎる海外生活

そんな中、久しぶりに彼女から連絡が入ってきました。

「誰に相談していいのか分からない」と彼女が泣きながら話すのは、一人で家に居るだけの毎日が寂しくて悲しくなってくるといった内容でした。

海外に支社をいくつも展開しているような企業に勤めていた彼女は英語でのコミュニケーションこそこなせましたが、彼女が住むのはインドネシア

日本と同じで英語が通じない人が圧倒的に多く、発音が違い過ぎて伝わらないことが多々あるそう。

また、治安が悪いために外に出歩くことすらなかなか出来ず、毎日家に一人で居るだけの生活になってしまっているとのことでした。

誰かに寂しさを分かって欲しくても、自分が選んで付いてきたことに対して愚痴を吐くことが許せず、誰にも言えないまま月日が経ち、気付けば涙が止まらなくなってしまっていた、そんな状態で私に電話をしてきました。

旦那さんが彼女の異変に気付いたようで、数日後、「一人で思い詰めてしまったから爆発してしまったけど、ちゃんと旦那に寂しい時は寂しいと伝えてみようと思う」と旦那さんの帰宅時間を早めたり、日中こまめに連絡を取るようにするなどして、一旦は解決したとのメッセージが届きました。

イメージしていた駐在妻と違った!

彼女が落ち着いたのを確認して、友人を作ってはどうか、と聞いてみました。

すると、周りに日本人はほとんど住んでいない地域に彼女たちは住んでいるそうで、一般的なイメージの駐在妻と彼女の生活は全くの別物だとのこと。

お昼はランチに出かけて家事はメイドさんが居る、そんな生活は大企業の駐在員のみに与えられるもので彼女の旦那さんが勤める中小企業ではそこまでの好待遇をしてもらえないそう。

せめて日本人の多いエリアや外国人向けアパートに住めたら敷地内を散歩でもできたのに、彼女が住むのは現地の人ばかりのアパート。当然アパートから一歩外に出ると、そこは治安の悪いインドネシアの街、日本人女性一人では怖くて歩けそうもない、と。

海外の専業主婦は呑気か?

駐在妻として、海外で幸せな生活を送っているのだろうと信じていた彼女が、そんな悩みを抱え、一人で思い詰めていたとは想像もしませんでした。

よく、専業主婦は世間知らずだ、呑気なもんだ、などといった批判を耳にしたり、駐在妻は家事などしない、といった揶揄があるほどです。

しかし実際、専業主婦や駐在妻であるからといって、呑気に過ごしたり、優雅な生活を送っていられる人は少ないのでしょう。